「象牙の牀(トコ)」岡本かの子 40歳            1929年(昭和4)5月刊行した仏教随想集「散華抄」に収録

朗読時間 8.32分    読み手:ND

 象中の王といわれる六牙の象。嫉妬に狂った王妃「賢」は夫の六牙を抜き取り愛の復讐を遂げようと誓い谷へ身を投じる。

 二十年後人間に生まれ変わった「賢」は梵摩達王の妃になり、王に象牙の牀が欲しいと訴える。王の厳命で老猟師が六牙の象を打ち殺す。

 しかし象牙の牀の肌触りは前生の夫の愛を確信させるのだった。