「荘子」岡本かの子 46歳の作品               1935年(昭10)雑誌「三田文学」12月号に発表

朗読時間11.13分  読み手 MM、NT、ND、YH

朗読時間12.12分 読み手 MM、 NT、 ND、 YH

登場人物:荘子と妻の田氏 荘子のパトロン支離遜 

  洛邑の名嬪・麗姫

 「麗姫は生一本で我儘でいつも明鏡を張り詰めたように力一ぱい精一ぱいに生活して行って塵の毛程の迷いもない。そのように生きられるなら哲学とか思想とかいうものも敢て必要としないだろう」と荘子は麗姫の生き方に心惹かれる。

 「彼女は生まれつきの娥ぼう靡曼(ガボウビマン)に加えて当時ひそかに交通のあった地中海沿岸の発達した粉黛(フンタイ)を用いていたので、羅馬(ローマ)風の情熱さえ眉にあふれた」と麗姫の美しさを描写。

  麗姫の影響を受けた荘子は「道はどこにでもありそうだ」と無為自然の道を説くようになる。一方麗姫は一目置いている荘子が彼女の我儘を見に来たと聞き恥じいって、人が変わってしまう。