「小町の芍薬」かの子 47歳の作品

1936(昭和11)年「むらさき」4月号初出

朗読時間 17.55分    読み手 YH

かの子はこの小説で何を言いたかったのだろう。君助や采女子に表現されるように彼女自身が生きづらさを感じていたひとである。

十六歳の采女子は言う。「人間は死ぬにしても何か一つなつかしいものをこの世に残して置き度がるものね」世を憂えても、どこかで光明を求めている、そんなひとの性を描きだしているようだ。